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帯状疱疹と予防ワクチンの大切さ|あると内科クリニック|鷺沼の内科/糖尿病内科/内分泌内科

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医療コラム

帯状疱疹と予防ワクチンの大切さ|あると内科クリニック|鷺沼の内科/糖尿病内科/内分泌内科

帯状疱疹と予防ワクチンの大切さ

こんにちは、看護師の山下です。

 

今回は帯状疱疹(たいじょうほうしん)とその予防ワクチンについてお話したいと思います。少し、内容が長く難しくなってしまいましたが、分かりにくい点がございましたら、お気軽にお問い合わせください (^^)/

 

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因の病気です。水痘(すいとう)とは水ぼうそうのことです。幼少期に水ぼうそうにかかった時に、ウイルスがそのまま体内の神経節(しんけいせつ)に潜伏(せんぷく)します。潜伏しやすい神経節は、顔面の三叉神経(さんさしんけい)と脊髄(せきずい)の神経節になります。潜伏とは、感染しているものの症状を発していない冬眠状態のことを示します。

 

ここで解説

・脊髄神経節とは、感覚の情報(温度や痛み)を脳に伝える神経繊維の細胞体(細胞本体のこと)が含まれている場所です。末梢(皮膚など)の感覚を中枢(脳)に伝える重要な役割を担っている場所です。

 

上図で神経節と記載した部位が脊髄神経節です。人体で左側の痛みは右脳で、右側の痛みは左脳で感知しています。不思議ですよね。

 

さて、話を元に戻しましょう。神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスは、加齢やストレスなどで免疫機能が低下した時に再活性化(ウイルスが再度増殖し始めて感染症状を引き起こすこと)します。再活性化した時に発症するのが帯状疱疹です。

 

神経節にはそれぞれの支配領域があり、それを専門用語でデルマトームといいます。帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化したその神経節に支配されたデルマトームのみに発疹が生じるので、まさに帯状(おびじょう)に発疹が発生します。例えば、下の図で、T6番の神経節で水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化した場合は、T6番の位置に発疹ができます。

 

デルマトームの図(Cは頸椎、Tは胸椎、Lは腰椎、Sは仙椎を示します)

 

日本人は、幼少期に水ぼうそうにかかった自覚がなくても感染(不顕性感染)している人がおり、成人の9割以上が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染しているといわれています。つまり、将来的に帯状疱疹を発症する素質をほとんどの日本人が持っています。

 

どんな症状が出るの?

上述した通り、神経節は体の左と右でそれぞれ独立して存在しております。そのため帯状疱疹では、体の片側に症状が出るのが特徴的です。では以下に症状をまとめてみましょう。

 

  1. 体の片側の皮膚に痛み、かゆみ、違和感、発疹などの皮膚症状が現れます。
  2. ピリピリと刺すような痛みがあり、夜も眠れないほど激しい痛みが出る場合もあります。
  3. 症状の多くは、上半身に現れますが、顔や眼、頭などに現れることもあります。
  4. 顔や眼、頭に症状が出た場合は早急な治療が必要となることがあります。

 

では実際に写真で見てみましょう。

痛痒そう・・

 

症状が治まった後も、**帯状疱疹後神経痛(PHN)**と呼ばれる痛みが長く続くケースがあり、患者様の生活の質を大きく下げてしまいます。そうならないためにも、当院では予防接種に積極的に取り組んでおります。

 

発症しやすい人

帯状疱疹は、加齢などで免疫機能が低下していると発症しやすくなります。とくに50歳代から発症率は増加し、80歳までには約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。中でも、糖尿病のある方は帯状疱疹を発症しやすいことが分かっており、重症化や神経痛が長引くリスクも高くなります。

 

  1. 糖尿病のある方(発症リスクは糖尿病がない方に比べて約2.4倍らしいです)
  2. がん治療中や免疫抑制剤、高容量ステロイドを治療で使用されている方
  3. 強いストレスや疲労が続いて体力が低下している方

 

要するに水痘・帯状疱疹ウイルスの感染率が高い日本人は早めの予防が大切ということです。|・ω・*)チラ ← 院長

 

看護師として感じること

これまで帯状疱疹にかかられた患者さんを多く見てきました。「まさかこんなに痛いとは思わなかった」「夜も眠れずつらい」とおっしゃる方が本当に多いのです。そのため私は今年、母に帯状疱疹ワクチンをプレゼントしました。看護師として、帯状疱疹がどれほど大変な病気かを知っているからこそ、大切な家族に同じ思いをしてほしくないからです。

 

ワクチンは高額ですが、帯状疱疹になると皮膚科や内科への通院に加え、痛みが長引けばペインクリニックにも通うことになります。結果、ワクチン費用以上の高額になります。医療費だけでなく、通院にかかる時間や体力的な負担も少なくありません。帯状疱疹は誰にでも起こり得る病気です。50歳を過ぎたら、一度「自分や大切な人を守るために帯状疱疹ワクチンを接種するかどうか」を考えていただきたいと思います。看護師として、そして家族を思う一人として、**「帯状疱疹になる前に、予防を」**と心からお伝えしたいです。

 

当院でのワクチンについて

50歳を過ぎたら、帯状疱疹の予防接種ができます。日頃から体調管理を心がけ、免疫機能が低下しないようにすることも大切です。当院では、効果が高く、10年間予防効果が持続するといわれているシングリックスワクチンを採用しています。なお、余談ですがシングリックスは帯状疱疹の英語Shinglesから命名したものと思われます(院長より)。

 

令和7年4月からシングリックスは定期接種化され、公費負担の対象になりました。定期接種の対象は、今年度対象年齢(65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳)になられた方、またはなられる方なのでご注意ください。令和7年度の対象者が帯状疱疹のワクチン定期接種を受けられるのは令和8年3月31日までです。帯状疱疹予防をお考えの方は、ぜひ当院までお問い合わせください♬

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