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甲状腺|あると内科クリニック|鷺沼の内科/糖尿病内科/内分泌内科

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甲状腺

甲状腺|あると内科クリニック|鷺沼の内科/糖尿病内科/内分泌内科

甲状腺

甲状腺の病気は2種類に分けて考えるとわかりやすいです。ひとつが機能の異常、もうひとつが見た目の異常です。機能の異常は採血検査で、見た目の異常は超音波検査で診断できます。当院ではどちらもその日のうちに検査をして結果を聞いて、必要あれば治療を開始して帰ることができます。首の腫れなど気になる方はお気軽にご相談いただければと思います。なお、場合によっては近隣の病院と病診連携を行いつつ、診断治療を行う場合がございますのでご了承ください。

甲状腺の場所と大きさ

甲状腺はのどぼとけの下にある、チョウチョウが羽を広げたような形をした臓器です。空気のとおりみちである気管の前に位置しており、縦の長さが3-4cm程度、重さが15g程度の小さな臓器です。

甲状腺の役割

甲状腺は内分泌臓器のひとつです。あたまにある下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulating Hormone、TSH)の働きによって、甲状腺からサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)が合成されて分泌されます。甲状腺から分泌されたT4とT3の大部分は血液中で蛋白質と結合しています。しかし、実際にからだのなかでホルモンとして働くのは、蛋白質と結合していない遊離T4(Free T4、FT4)と遊離T3(Free T3、FT3)です。血液検査ではこのFT4とFT3を確認しています。

バセドウ病

通常は、下垂体から分泌されるTSHが甲状腺にあるTSH受容体を刺激することで、甲状腺から甲状腺ホルモン(T4、T3)が作られます。しかし、バセドウ病ではこの甲状腺にあるTSH受容体を刺激してしまうTSH受容体抗体が体内で作られてしまい、これが原因で甲状腺機能亢進症となります。
バセドウ病は20-30代の若い女性に多い病気です。甲状腺が大きく腫れてくるので、鏡をみていて首元の腫れで気づくことが多いです。目がとび出たり、目が完全に閉じないなど眼の症状(甲状腺眼症)が出ることもあります。
代謝をつかさどる甲状腺ホルモンや、交感神経のカテコールアミンが過剰となるため、動悸や体重減少、指の震え、暑がり、多汗(汗かき)などの症状がおきます。その他、疲れやすい、軟便や下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きのなさを生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。男性によくみられる症状には、炭水化物の多い食事の後や運動後などに手足が突然動かなくなる発作(周期性四肢麻痺)があります。
治療方法は大きくわけて3つあります。抗甲状腺薬による薬物療法、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺摘出術の3つです。多くの場合、まずは抗甲状腺薬による薬物療法が行われます。しかし、薬物療法を2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合には、放射性ヨウ素内用療法や甲状腺摘出術などの他の治療法が検討されることもあります。また眼の症状については、眼科へご紹介することもあります。
バセドウ病はストレスによって病気が悪化したり、再発したりすることがあるので、日常生活では、できるだけストレスを避けて規則正しい生活を送るように心がけましょう。

橋本病(慢性甲状腺炎)

橋本病は甲状腺ホルモン(T4、T3)が少なくなる病気の代表例です。橋本病は非常に頻度の高い病気で、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。とくに30~40代の女性に発症することが多い病気です。
橋本病では、自己免疫の異常により体内にあるリンパ球が甲状腺組織を破壊して、甲状腺に慢性炎症が生じます。この慢性炎症によって甲状腺組織が少しずつ壊され、甲状腺ホルモンが作られにくくなると、甲状腺機能低下症が生じます。ただし、すべての患者様で甲状腺ホルモンが少なくなるわけではなく、橋本病のうち甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満といわれています。
甲状腺で炎症が起きるので甲状腺は腫れてきて、くびの圧迫感や違和感を感じることがあります。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が下がることによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などを生じます。女性では月経過多になることがあります。うつ病や認知症と間違われることもあり、心療内科で橋本病の診断を受けて内分泌内科へ紹介となるケースも多いです。血液検査では、コレステロール高値や肝機能異常を認めることがあります。
血液検査で甲状腺ホルモンの低下がみられない場合、原則的に治療は必要ありません。甲状腺機能低下症が認められる場合は、合成T4製剤(レボキシンナトリウム)の内服を行います。昆布など海藻類に多く含まれるヨウ素の過剰摂取は、甲状腺の働きをさらに低下させるため、過剰摂取が疑われる場合は、ヨウ素制限も必要となります。
倦怠感など甲状腺機能低下症の症状が強い場合、治療によって甲状腺ホルモンが正常に戻るまでは、あまり体に負担をかけないように心がけましょう。

亜急性甲状腺炎

甲状腺では必要なときにすぐ甲状腺ホルモンを分泌できるように甲状腺ホルモンの作りおきをしています。甲状腺になんらかの理由で炎症が起きると、甲状腺組織の一部が壊されて、作りおきしていた甲状腺ホルモンが血液中に流れ出てしまいます。血液中に甲状腺ホルモンが流れ出ると、一時的に甲状腺ホルモン値が上昇します。
症状は炎症による症状と甲状腺中毒症(甲状腺ホルモン値の上昇)による症状があります。炎症により、発熱と痛みを伴う甲状腺の腫れがおきます。また、甲状腺ホルモン値の上昇により、全身倦怠感や動悸、多汗(汗かき)などの症状が出ます。亜急性甲状腺炎はかぜ症状の後に起こることがしばしばあり、ウイルス感染により生じる可能性があるといわれています。
亜急性甲状腺炎の場合、時間はかかりますが自然経過で症状は改善していきます。しかし、高熱や首の痛みがひどい場合は、症状に応じて副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)や抗炎症薬の投与を行うこともあります。なお、副腎皮質ホルモンを用いる場合は急に内服を中止すると症状がぶり返してしまうことがあるので、症状改善後は薬を少しずつ減らして中止します。

無痛性甲状腺炎

甲状腺組織の一部がなんらかの機序によって破壊されて、甲状腺ホルモンが血液中に流れ出てしまう病気です。亜急性甲状腺炎と似ていますが、こちらは痛みを伴いません。橋本病やバセドウ病に合併しやすいとされています。
症状は甲状腺中毒症(甲状腺ホルモン値の上昇)による症状が中心です。甲状腺ホルモン値の上昇により、全身倦怠感や動悸、多汗(汗かき)などの症状が出ます。多くの場合、血液中の甲状腺ホルモンは3か月以内に正常化しますが、治る過程で一時的に甲状腺ホルモンが低下することもあります。また、出産後授乳期にもおこりやすく、何度か繰り返すことも少なくありません。
自然経過で改善していきますが、動悸がつよい場合には一時的に脈拍を抑える薬を使用することもあります。

甲状腺のしこり

甲状腺のしこりは良性と悪性の2つにわけて考えるとわかりやすいです。
良性のしこりには、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)、甲状腺のう胞(こうじょうせんのうほう)の3つがあります。それぞれについてみていきましょう。

濾胞腺腫

甲状腺の良性腫瘍です。ゆっくり発育していくのが特徴ですが、なかには甲状腺濾胞がんとの区別が難しいものがあります。診断には血液検査、超音波検査、細胞診が必要となります。甲状腺濾胞がんとの区別が難しい場合は手術で摘出して病理検査をすることもありますが、基本的には外来で超音波検査などを用いて経過観察をしていきます。

腺腫様甲状腺腫

専門的には良性腫瘍ではなく、過形成に分類されます。過形成とは正常の細胞が増えた状態のことで、良性腫瘍とは医学的に区別されています。例えば、消化管にできるポリープも一部は過形成が原因といわれております。腺腫用甲状腺腫の症状はくびの腫れや圧迫感が多いです。しかし、小さい病変の場合はたまたま撮った画像診断で指摘されて受診されることもあります。診断には血液検査、超音波検査、細胞診が必要となります。治療は必要ありませんので、外来で超音波検査などを用いて経過観察をしていきます。しかし、がんの合併が疑われる場合やくびの圧迫感がつよい場合などは手術をお勧めすることもあります。

甲状腺のう胞

のう胞とは水たまりのことです。甲状腺のう胞の場合、ほとんどは腺腫様甲状腺腫や濾胞腺腫の内部で変性や出血が起きて水風船の様に膨らんできた続発性のう胞が多いです。治療は必要ありませんので、外来で超音波検査などを用いて経過観察をしていきます。しかし、大きな甲状腺のう胞の場合は圧迫感なども強いため、超音波下で外から針を刺して水を抜いてあげる処置をすることもあります。

悪性腫瘍

甲状腺がんには、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、低分化がん、髄様がん、未分化がん、があります。それぞれの頻度は、乳頭がんが圧倒的に多くて90%を占めています。ただし、いずれの病気も他の臓器の悪性腫瘍と比較して頻度は非常に低いのが特徴です。

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