生活習慣病
生活習慣病
からだによくない生活習慣を続けることが原因で生じる病気を生活習慣病といいます。生活習慣病には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、痛風(高尿酸血症)、がん、骨粗鬆症、肝疾患、腎疾患、歯周病などが含まれます。
運動不足や偏った食生活、過度な飲酒、喫煙やストレスなどの生活習慣が深く関係し、これらが積み重なることで生活習慣病が発症するといわれています。また、肥満も生活習慣病の原因のひとつと考えられています。
体によくない生活習慣
運動不足、偏った食事、過度な飲酒、喫煙、ストレスなど
肥満
糖尿病
高血圧
脂質異常症
痛風(高尿酸血症)
動脈硬化
脳卒中
狭心症や心筋梗塞
生活習慣を見直してこの流れを断ち切ることが大切です。
まずは食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒のいずれかひとつを見直してみましょう!
生活習慣病の多くはゆっくりと進行するため、乱れた生活習慣を見直すことで、発症の予防ができることが特徴です。習慣となってしまった生活習慣を変えることはとてもたいへんなことですが、発症してしまった病気を治すことはさらにお金も時間もかかってたいへんです。まずは食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒のいずれかひとつを見直してみてはいかがでしょうか?
また最近の特徴として、子どもの生活習慣病が増えています。子どもの場合、親の生活習慣が反映しやすく、親自身がご自身の生活習慣を見直すことが大切です。ぜひ家族で生活習慣の見直しに取り組みましょう。
生活習慣病は患者様1人の努力で治すのは難しい病気です。ご家族や職場の病気に対する理解が重要になってきます。当院ではそういったサポートもできる限りさせていただきます。
高血圧とは、慢性的に血圧が高い状態が続く状態のことです。注意点としてはあくまでも慢性的に続く場合を高血圧と診断し、一時的な血圧の上昇は含まれません。というのも通常は一時的に血圧が上がったとしても正常値に戻るのが一般的ですが、高血圧の患者様は常に血圧が高めです。
では具体的な基準をみていきましょう。病院で測った血圧が140/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。なお、最近は家庭用血圧計も普及しており、家庭ではこの基準が135/85mmHg以上で高血圧と、少し基準が厳しめになります。これは、病院では血圧を測るときに緊張されている患者様がほとんどで、その分少しだけ病院の基準は緩めてあります。
高血圧には、ホルモンの異常などで起こる二次性高血圧と、原因のはっきりしない本態性高血圧があります。本態性高血圧は、遺伝的要因と塩分の摂り過ぎ、肥満、過度な飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどの生活習慣が重なって発症すると考えられています。
高血圧はほとんどの場合は症状が出ませんが、よほど血圧が高くなると頭痛などの原因となります。また、高血圧は喫煙とならんで、日本人の生活習慣病による死亡に最も大きく影響する要因といわれています。
血圧を受け止めているのは血管です。血管は本来ゴムの筒のような構造をしており、弾力があります。しかし、高血圧状態が長く続くと血管は圧によって張りつめた状態におかれて、次第に厚く、さらに硬くなります。これが高血圧による動脈硬化です。この動脈硬化は、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、心筋梗塞、眼底出血などの原因となります。また、ポンプである心臓は疲れてしまい、心不全(ポンプの不調)になることもあります。したがって、こうした合併症を予防するためには、高血圧にならないように生活習慣の改善に取り組み、既に高血圧の人は血圧を内服薬などで正常化することが重要となります。たかが高血圧と思って放置せずに、しっかり治療していきましょう。
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。脂質の異常には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪(トリグリセリド)の血中濃度の異常があります。これらはいずれも、動脈硬化の促進と関連します。
なぜLDLコレステロールが悪玉コレステロール、HDLコレステロールが善玉コレステロールといわれているのでしょうか。これを理解するためには体内での脂質の代謝を理解する必要があります。
コレステロールはご存知のとおり“あぶら”です。血液は水溶性のため、コレステロールをそのまま血液で運ぶことはできません。そこで、コレステロールの運び屋として活躍しているのが、LDLとHDLになります。LDLは肝臓で作られたコレステロールを載せて、血管を通じて全身の組織に運ぶ役割をしています。一方でHDLは、組織から余ったコレステロールを載せて肝臓に戻す役割をしています。
ここからが悪玉コレステロールと善玉コレステロールの由来です。LDLコレステロールは過剰になると、血管壁に沈着して蓄積し、これが動脈硬化を引き起こします。一方で、HDLコレステロールは余分なコレステロールを組織や血管壁から回収して、肝臓に戻してくれます。これらの特徴から、LDLコレステロールを悪玉コレステロール、HDLコレステロールを善玉コレステロールと呼ぶようになりました。
では基準値を確認しましょう。LDLコレステロールは140mg/dl以上、HDLコレステロールは40mg/dl以下で脂質異常症の診断となります。
次に中性脂肪です。中性脂肪は、トリグリセリドとも呼ばれて、採血結果にはよくTGと記載されています。中性脂肪は肉や魚、食用油のなかに含まれており、ヒトの体内に入ると体を動かすための貴重なエネルギー源となります。また、中性脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪の一部として蓄えることもできます。このように、一見とても大切な働きをしている中性脂肪ですが、生活習慣が乱れてしまって食べ過ぎや運動不足になると、どうしても体内で余ってしまいます。そして、余った中性脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまいます。
中性脂肪の150mg/dl以上で脂質異常症の診断となります。しかし、これには空腹時という条件がつきます。というのも、食事によって簡単に上がってしまうのが中性脂肪の特徴なのです。
脂質異常症の治療は、まずは生活習慣の見直しから行っていきます。それでも改善が難しければ内服薬を開始します。脂質異常症だけでは症状はありませんが、将来の動脈硬化を予防するためにも適切な数値を維持できるように頑張りましょう。
高尿酸血症とは血液中の尿酸値が通常より高い状態のことです。痛風や腎結石、尿路結石の原因になるほか、腎機能の低下につながることが報告されています。また高尿酸血症は、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病を複合的に合併することが多いといえます。
尿酸は血液内に溶けて存在していますが、高尿酸血症が続くと尿酸が血液に溶けきれなくなり、一部が関節の中で結晶化します。すると、そこに尿酸結晶を除去しようと白血球が集まってきて炎症反応を起こします。これが痛風です。足の親指のつけ根に症状が出ることが多く、痛みや発赤、腫れを伴います。関節の痛みなので整形外科を受診されることも多いのが痛風の特徴ですが、内科でも治療はできます。
高尿酸血症は、ビールや肉、魚卵などプリン体を多く摂取するなど、生活習慣により引き起こされることが多い疾患です。生活習慣の改善と内服治療により高尿酸血症の改善を図ることが重要です。